講師紹介 / アジェンダとゴール / 成果物紹介 / AI開発トレンド概観 / リスクとガバナンス
デモ : ブラウザ用AIチャットアプリ開発 / 作業効率化手法 / Agentモード / AI並列駆動開発
AI搭載IDE比較 / CLI搭載LLM / Rulesの重要性 / デモ : 外部コンテキスト引用とMCP
技術均一化と成長機会 / ジュニア・ミドル育成 / シニアの行動変容
生成AIを活用した開発手法の全体像を掴み、研修のゴールを共有する。2021年のGitHub Copilot登場から5年。AIは補助ツールからチームメンバーへと立場を変えた。
自社で試したいAI開発ツールが1つ以上決まっている。AIツールの「育て方」を理解している。チームへの導入イメージが持ち帰れる。
各カードをクリックすると数字が表示されます
| 年 | 出来事 | 意味 |
|---|---|---|
| 2021 | GitHub Copilot テクニカルプレビュー | AIコーディングの幕開け |
| 2022 | GitHub Copilot 一般公開 | 「AIペアプログラミング」が現実に |
| 2023 | GPT-4登場 / Claude 2 / Cursor登場 | 高精度コード生成と専用IDEの誕生 |
| 2024 | Claude 3 / GPT-4o / Gemini 1.5 Pro | マルチモデル時代の到来 |
| 2025 | Claude Code / Copilot Agent Mode / Kiro | エージェント型AIへの転換 |
| 2026 | 各ツールの成熟と統合 | AI駆動開発がスタンダードに |
AIが開発プロセスの中核を担う手法。コード生成からテスト、レビュー、デプロイまで、AIがパイプライン全体に関与する。
AIが自律的にファイルを読み、コードを書き、テストを実行する。人間は指示と承認に集中し、実装はAIに委ねる。
AIが書いたコードを盲信するのは危険だ。生成コードには脆弱性が混入する可能性がある。機密情報の送信、ライセンス違反、品質低下。リスクは多岐にわたる。
学習データの権利問題、生成コードの帰属、OSSライセンス違反。法的整理はまだ途上にある。
レビュー不足による本番障害、エンジニアのスキル低下、ベンダーロックイン。導入と同時にガバナンス設計が必要になる。
AIツール利用ポリシーの策定、機密情報のマスキングルール、生成コードのレビュー必須化、定期的なセキュリティ監査、利用ログの取得と分析。金融機関では「AI生成コードは必ず2名以上でレビュー」というルールを設ける企業も出ている。
VSCodeとGitHub Copilotを使ったデモを通じて、バイブコーディングの威力とAgent Modeの自律性、Git Worktreeによる並列開発を体感する。
営業担当がお客様との会話メモを貼り付けるだけで、エンジニアへの引継ぎに必要な技術要件を自動で抽出・整理するWebアプリ。HTML/CSS/JSのみ、1ファイル完結。プロンプト一発で生成し、Agent Modeで機能拡張する。
GitHubとOpenAIの共同開発によるAIアシスタント。コードの文脈を理解し、リアルタイムで次のコードを提案する。2026年現在はマルチモデル対応で、Claude統合も実現。月額$10から。
| 操作 | Mac | Windows | 用途 |
|---|---|---|---|
| 補完を採用 | Tab | Tab | 提案されたコードを適用 |
| 次の候補 | Option + ] | Alt + ] | 別の提案を表示 |
| Copilot Chat | Cmd + Shift + I | Ctrl + Shift + I | チャットパネルを起動 |
| インライン提案 | Option + \ | Alt + \ | 提案をトリガー |
| コマンドパレット | Cmd + Shift + P | Ctrl + Shift + P | あらゆる操作の起点 |
Copilotは開いているファイルの文脈を自動で読む。だが、明示的にコンテキストを渡せば精度は格段に上がる。
@workspace を使い、プロジェクト全体を参照させる何をする関数か不明。命名も曖昧。型も戻り値もわからない。
意図・入出力・利用ライブラリを明記。Copilotが正確に補完できる。
2025年に登場したCopilot Agent Mode。単純な補完を超え、タスクを理解して複数ファイルを横断した変更を自律的に行う。開発者は指示を出し、結果を確認するだけ。
自然言語で「履歴機能を追加して」と伝えるだけ。ファイル読み取り、コード修正、エラー解決をAIが自分で判断して実行する。
HTMLの構造変更、CSSの追加、JSのロジック実装を一度の指示で横断的に処理。人間が介在しない時間が生まれる。
コードを書いてエラーが出たら、自分でログを読み、原因を特定し、修正する。ジュニアエンジニアと同等の自走力がある。
AIが理解しやすいフォルダ構成にすることで、生成コードの品質が上がる。.github/copilot-instructions.md にプロジェクト固有のルールを書けば、すべての提案に反映される。
copilot-instructions.md の具体例。チームのコーディング規約をそのまま書けばいい。曖昧な指示は効かない。具体的に、命令形で。
1つのリポジトリから複数の作業ディレクトリを同時に作成する。ブランチ切り替え不要で、複数のAIセッションを並列実行できる。シーケンシャルに30分かかる作業を10分で終わらせる技術。
AI搭載IDEとCLI搭載LLM。2026年現在、選択肢は爆発的に増えた。どれを選ぶかより、どう「育てる」かが差を生む。すべてに共通するのはRules。
VSCodeフォーク。Chat / Composer / Inline Editの3モード。マルチモデル対応でClaudeもGPTも使える。2023年登場以降、急速にシェアを拡大。月額$20から。
2025年登場の次世代IDE。従来のエディタパラダイムを根本から見直した。意図ベースの開発フロー、AI生成コードのトレーサビリティが特徴。独自UIで非VSCodeベース。
AWSが2025年に発表。VSCodeベースでBedrock統合。IAMアクセス制御、CloudWatch連携、VPC内利用対応。エンタープライズのセキュリティ要件を満たす設計。
| 項目 | Cursor | Antigravity | Kiro | VSCode+Copilot |
|---|---|---|---|---|
| ベース | VSCode | 独自 | VSCode | VSCode |
| 月額 | $20〜 | 未発表 | AWS課金 | $10〜 |
| AIモデル | 複数選択可 | 独自 | Bedrock | OpenAI + Claude |
| 拡張機能 | VSCode互換 | 独自 | VSCode互換 | VSCode標準 |
| 企業導入 | 増加中 | 少 | AWS顧客中心 | 最多 |
| 強み | Composer | 新パラダイム | セキュリティ | エコシステム |
どのIDEを選んでも、「ルール」の設計が成果を左右する。AIにプロジェクト固有の指示を与え、一貫した出力を得る。ルールなしのAIは、プロジェクトを知らない新入社員と同じだ。
| ツール | Rulesファイル | 配置場所 |
|---|---|---|
| Cursor | .cursorrules | プロジェクトルート |
| GitHub Copilot | copilot-instructions.md | .github/ |
| Claude Code | CLAUDE.md | プロジェクトルート |
| Kiro | .kirorc | プロジェクトルート |
導入して終わりではない。初期ルール設定 → 生成結果の観察 → ルール改善 → チーム共有 → 継続メンテナンス。このサイクルを回すチームが成果を出す。失敗パターンをルールに追加し、成功パターンを横展開する。
Anthropic社提供。ターミナルネイティブで、ファイル操作・Git連携・マルチファイル編集が得意。エージェント的動作が最も強力。CLAUDE.mdでプロジェクト設定。エディタ非依存なのでVim/Emacsユーザーにも。
Geminiモデル使用。GCPとの統合が強み。100万トークンという長大なコンテキストウィンドウが最大の特徴。BigQuery連携やGCPリソース操作が得意。
| 項目 | Claude Code | Codex | Gemini CLI |
|---|---|---|---|
| 提供元 | Anthropic | OpenAI | |
| ベースモデル | Claude | GPT | Gemini |
| OSS | 一部 | あり | なし |
| エージェント機能 | 強い | 中程度 | 中程度 |
| クラウド統合 | なし | Azure連携可 | GCP強い |
| コンテキスト長 | 200K | 128K | 1M |
クラウドにデータを送れない環境、あるいはコストを抑えたい場面ではローカルLLMが選択肢に入る。2026年現在、ノートPC上でも実用的なコード生成が可能になった。
ローカルLLM実行の事実上の標準。1コマンドでモデルのダウンロードと起動が完了する。Llama、Codestral、DeepSeek Coderなど主要モデルに対応。REST APIを提供するためContinueやAvante等のエディタ拡張と連携可能。
GUIでモデルを管理・実行できるデスクトップアプリ。HuggingFace上のGGUFモデルをワンクリックでダウンロード。OpenAI互換APIを提供するので、既存のCopilot連携設定をそのまま流用できる。
VSCode/JetBrains用の拡張機能。ローカルLLMをコーディングアシスタントとして接続する。Ollamaとの連携が容易で、Copilotと同等のタブ補完・チャット・Agent機能をローカルモデルで実現。
| 項目 | ローカルLLM | クラウドLLM |
|---|---|---|
| データ送信 | なし(機密対応) | 外部サーバーへ送信 |
| ランニングコスト | 電気代のみ | 従量課金 or 月額 |
| 精度 | GPT-3.5相当〜 | GPT-4o / Claude Opus |
| セットアップ | やや手間 | 即座に利用可能 |
| 必要スペック | RAM 16GB以上推奨 | ブラウザのみ |
| 向いている用途 | 補完・定型コード | 複雑な設計・大規模変更 |
ローカルLLMは「クラウドの代替」ではなく「棲み分け」で考える。機密性の高い社内コードの補完にはOllama + Continue。大規模な設計やリファクタリングにはClaude CodeやCopilot Agent Mode。この2層構成が2026年時点の最適解だろう。
MCP(Model Context Protocol)はAnthropicが提唱したオープンプロトコル。AIと外部データソースを接続する標準規格で、2026年には事実上の標準として定着した。社内Wiki、DB、API — AIが「知らない」情報もリアルタイムで参照可能になる。
| MCPサーバー | 機能 | 用途 |
|---|---|---|
| Filesystem | ローカルファイルアクセス | 社内ドキュメント参照 |
| GitHub | リポジトリ、Issue、PR | コードベースの検索 |
| Google Drive | ドキュメント、スプレッドシート | 社内資料の検索 |
| Notion | ノート、データベース | ナレッジベース連携 |
| PostgreSQL | データベースクエリ | 業務データの参照 |
| Slack | メッセージ、チャンネル | チーム情報の検索 |
draw.io MCPサーバーを使い、Claude Codeに「ECサイトのER図を描いて」と指示する。AIが自然言語からテーブル設計を考え、draw.ioに直接ER図を描画する。コードを書くだけでなく、設計ドキュメントもAIが自動生成できることを示す。
Claude CodeのAgent Teams機能はまだベータ版。でも、AIの利用コストは下がり続けており、性能も上がり続けている。1か月後にはこれが当たり前になっている可能性が高い。今日はその「ちょっと先の未来」を一足早く体験してもらいます。
最後のデモは、皆さんに参加していただきます。2つ決めてください。
1つ目は「こんなもの作ってみてくれ」という無茶振りテーマ。業務で欲しいツールでも、遊び心あるものでも何でも構いません。
2つ目は、AIチームの各メンバーが演じるロール — キャラクター。「ベテラン職人肌のPM」「新卒で張り切りすぎるエンジニア」のような人物像を指定すると、AIがそのキャラで実装を進めます。
講師がこの後呼びかけますので、ぜひ気軽にアイデアを教えてください。
AIの進化は開発の民主化をもたらした。同時に、新たな問いも突きつけている。技術の均一化は何を意味するのか。エンジニアの育成はどう変わるべきか。
まずは皆さんで考えてみてください。どう思いますか?
「コードが書ける」はもう差別化にならない。要件定義力、アーキテクチャ設計力、ドメイン知識、ステークホルダーとのコミュニケーション。差別化要因は上流へ移動している。
倫理的判断、顧客との信頼関係構築、組織の意思決定、新規性の高いイノベーション。人間にしかできない仕事は減るどころか、その価値が上がっている。
AIの出力を評価・改善する訓練、複雑な問題を分解する練習、AIがない環境での基礎訓練期間の確保、メンタリングによる暗黙知の伝承。従来の「書いて覚える」から「評価して学ぶ」への転換が求められる。
皆さんのチームではどうですか? シニアの方、思い当たることはありませんか?
従来は「簡単なタスクから徐々に難易度を上げる」だった。今後は「AI活用の型を学ぶ → AIの出力を評価する → AIが苦手な領域を担当 → AIを監督する立場へ」。出発点が変わった。
コードレビューの観点をAI生成前提に変更する。「教える」から「導く」へ、答えを与えず考えさせる。AIの限界を示すケーススタディを共有する。設計・判断の「なぜ」を言語化する習慣をつける。
生産量ではなく判断の質、コード量ではなく問題解決力、個人成果ではなくチーム貢献。週1回の「AIなし開発タイム」、AIの出力を3回は修正してからマージ、障害対応にジュニアも参加させる。具体的なプラクティスを導入する。
2021年のCopilot登場から5年で成熟期に到達。エージェント型AIが主流に。リスクとガバナンスの設計が導入の前提条件。
バイブコーディングで開発速度が劇的に向上。Agent Modeで自律的開発が可能に。Git Worktreeで並列開発が実現。
Cursor、Kiro、Claude Code、Gemini CLI。どれを選んでもRulesが成果を左右する。MCPで外部コンテキスト統合。
差別化要因は上流へ。シニアの役割は「教える」から「導く」へ。評価基準の見直しが急務。
1. 本研修で興味を持ったツールを1つ、今週中に試す。
2. チーム内でRules / Instructionsファイルを作成し、リポジトリにコミットする。
3. 育成方針についてチームで議論する機会を来月中に設ける。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| AI駆動開発 | AIを中心に据えた開発手法。コード生成からレビュー、デプロイまでAIが関与する |
| バイブコーディング | 自然言語でコードを書く開発スタイル。コードを直接書かない |
| エージェントAI | 自律的にタスクを遂行するAI。人間の指示を理解し、複数ステップを自走する |
| MCP | Model Context Protocol。AIと外部データソース間の通信規格 |
| Rules / Instructions | AIに与えるプロジェクト固有の指示ファイル |
| Git Worktree | 1リポジトリから複数の作業ディレクトリを作成するGit機能 |
| ハルシネーション | AIが事実と異なる情報を自信満々に生成すること |
| コンテキスト | AIに渡す文脈情報。ファイル、会話履歴、外部データなど |